Art Trip Arabe World Institute Jean Novel
Institut du Monde Arabe Paris France
アラブ世界研究所 パリ カルチェラタン 観光 フランス
ジェン ヌーヴェル 建築家 近代建築
常々行きたいと思いつつ、近くまで来ているのになかなか行けない所がいくつかある。そのひとつが1987年に建てられたアラブ世界研究所だ。今回、出張でパリに来たけれど、COVID19ウィルスの影響で来場者は少なく、私の仕事も普段の2割程度。時間を持て余していても勿体ない。降り続いた雨も上がったので、ロワイヤル橋を渡り、カルーセル橋から降りて、いつもと気分を変えて川岸を歩いて見に行こう。
セーヌ川は、ここのとこの雨で歩道ギリギリの水量。次のアーツ橋を見上げると、味気ない透明なアルミ板の橋。以前は恋人たちのカギでぎっしりだったが、重さに耐えら得なくて倒れた橋だ。(写真は鍵がぎっしりだった頃の橋)
サンミッシェル橋で歩道に上がると、古本や絵画を販売しているたくさんの露店が並ぶ。私はこの雰囲気が好きで、露天の店主や客人、そのやりとりを見ていると飽きずにどんどん歩けてしまう。それにこの店舗、コンパクトに良くできている。
やっと辿り着いたアラブ研究所は、背面からはただの四角い建築物だが、前に回るとアラブ文化を表す幾何学模様が全面に装飾され、大迫力。アルミが空の色を反射して薄く水色がかって輝いている。しかし、この建物の素晴らしいところは、単に美しいだけでなく、この幾何学模様がカメラのレンズの絞りのように閉じて、採光調節をする機能も持ち合わせていることだ。
デザインとは何か、の答えがここにある。『文化』のアラベスク模様で『美しい外観』を作り、アラブの世界を『広告』し、人が快適に過ごすための採光窓を『設計』をしている。デザインに必要なもの全てが幾何学模様で表現されている。建築家ジャン・ヌーヴェルの最高傑作ではないだろうか。
中に入ってさらに建物を堪能しようと思ったが、今日は入れない。なぜだ?そんなことHPには書いてなかったぞ。はたして中はどうなっているのだろう?装飾の開閉は、その影や光は・・と期待がふくらむばかり。しょうがない、次回必ずまた来よう。パリでの楽しみがまたひとつ増えた。
Atsuko Imai