The Attractive Stripes after more than 20 years 時を経てアイコンとなったストライプ 馬頭広重美術館

Art Trip  Tochigi

Kengo Kuma  Nakagawa-machi Bato Hirosige Museum of Art   Tochigi  Japan
隈研吾  那珂川町馬頭広重美術館   栃木  観光 日本
近代建築 建築デザイン 空間デザイン

商業施設などのオープンのニュースでよく目にするのが建築家、隈研吾さんの名前だ。その活躍は競技場、美術館、宿泊施設、飲食店などそのスケールとカテゴリーも多彩。以前のTVインタビューでは200人を超えるスタッフを抱え、いくつものプロジェクトが同時進行していると言っていた。勿論、氏の作品は私達の短なところにも溶け込んでいる。私の待ち合わせ場所と言えば、表参道交差点。見上げれば緑の木々と隈研吾建築の縦格子ストライプのONE表参道!!今回はその『スタイル』の原点と言われる場所へ向かった。

その場所は2000年開館の那珂川町馬頭広重美術館。栃木の実業家、青木藤作氏のご遺族から寄贈された歌川広重を中心とするコレクションを所蔵している。伸びやかな平屋建ては地元の素材と職人の技が調和している。

外観は深い庇が印象的で暗く落ち着いた雰囲気。人がいなかったこともあり、「静寂」を感じる。建物の中に入ると、地元の八溝杉が規則的に並び、柱の隙間から光が降り注ぐ。室内は一転して明るく開放感に満ちている。

日本建築といえば木材、かつて外国人から日本の家は木と紙で出来ていると言われたほど。その木材を細かく繊細に、正確に並べるとそこに和モダンが表現される。それは日本人のわびさび、無駄を排した研ぎ澄まされたデザイン故か。またその縦格子から生み出される正確なリズムを刻む陰影が静けさを縁取り、そこに映し出したシャープなストライプは強烈な印象を残す。『The Attractive Stripes』は正に隈研吾建築の代名詞。歴史的なアーティストにはそのターニングポイントになった作品がある。そして、その”らしさ”の追求が歴史となる。

この美術館から一歩外に出ると、静かな地方の町。改めて外観を見つめると、日の光を浴びて雨風にさらされた木材がかなり痛んできているのが目に付く。手を入れてもう一度この美術館と町の魅力を発して欲しい。
Atsuko Imai

ONE表参道
那珂川町馬頭広重美術館