Art Trip Aix-en-Provence Cezanne
Musee Atelier de Paul Cezanne Aix-en-Provence France
エクス アン プロヴァンス 南仏 プロヴァンス 観光 フランス
ポール セザンヌ セザンヌのアトリエ ポスト印象派
ここはセザンヌが生まれた町。パリに絵の勉強に行き、再びここに戻ってきた。町を歩くと確かに心地がいい。鷲ノ巣村ほど僻地でも田舎でもなく、それなりにお店もある。美味しそうなレストラン、おしゃれなショップも街にはある。脇道に逸れて路地に入るとアップダウンの趣のある住宅街が広がる。
セザンヌが晩年構えたアトリエが街から少し外れた丘の中腹にある。坂を歩いているとセザンヌのアトリエを撮った古いモノクロ写真のモニュメントがあった。周りの塀や木々の雰囲気は違うけれど、家屋の配置や通りは今と全く同じ。
内覧時間までアトリエの周囲を散策。ここは晩年のセザンヌが毎日歩いていただろう。今は少し電線や木々が邪魔するけれど、遮るものがない当時は素晴らしい眺めだったはず。建物の正面まで戻ってくると、窓の修理をしている男性から梯子を退けるから全体の写真を撮ったらいいよ、と笑顔で勧められた。ありがとう。
アトリエは高い天井と大きな窓がある部屋で、セザンヌが描いたモチーフが所狭しと並んでいる。灰色の壁、木製の机、リンゴやオレンジ、水差し、キューピット(描いていたのよりずっと小さい!)、スカル等々。輪郭が強く、キュビズムの歪んだ構図で存在感のある静物画はこれらを見続けてここで描かれたのだと実感する。
アトリエで観覧するのはこの一部屋だけ。この小さな空間だけだけれど、そこには画家に対する地元の方々の愛情を感じる。描かれたことを誇りに思い、昔と変わらない姿を残し、旅人達に当時の空気を味わせてくれる。そして、もっと作者と作品を好きにさせてくれる。
また好きな画家が一人増えた。きっとこれからセザンヌの絵を見ると、このアトリエを思い出すだろう。私は変わらず2台の車がすれ違うのがやっとの道を下りながら、セザンヌの魅力を教えてくれた南仏、エクス アン プロヴァンスに感謝した。
Atsuko Imai