The Modern Modified Museum 京セラ美術館の私的ハイライト

Art Trip Okazaki Kyoto

Kyotocity-Kyocera Museum  Kyoto  Japan
京都国立現代美術館 ロームシアター 京セラ美術館   観光 京都
歴史建築 建築家 リノベーション

“京の美”の勝手なイメージは、小さな世界の美しさ、遊知を知る人にだけ分かる世界、ミニマリズムが共存する美。入り組んだ路地の先にある“美”、奥ゆかしき静かな街角の“宝石”を見つける喜び。京都には歴史ある神社仏閣を除けば、巨大な規模の近代建築や商業施設は似合わないように思う。その京都にあって岡崎だけはスケールの大きな建築が並ぶエリア。今回は京都のアートの中心地、岡崎の京セラ美術館が目的地。2020年のリニューアルを機に、このエリアを歩いてみよう。先ずは槇文彦氏デザインの京都国立現代美術館。槇さんの様々な形のブロックを組み合わせたような建築がここでもみられる。

京都国立現代美術館

つづいて、ロームシアター京都。前川國彦氏設計により1960年に会館したコンサートホール。2016年リニューアルにより蔦屋やカフェレストランが入り、息を吹き返し、文化価値を高めている。水平でどっしりとした上部と広いピロティは前川氏の特徴的設計だが、鳥居や平等院を思い浮かべる細部デザインは京都ならでは。

ロームシアター京都

やっと、京セラ美術館に到着。リニューアルは青木淳氏、西澤徹夫氏の共同案が採用された。新館の東山キューブの外装は、本館のタイルと同調するようなイメージで作られ、敷地内に突然最新建築が登場したという違和感は全くないが、ジオメトリックな装飾と細いサンセリフ体のサインがとてもモダン。

大きくリフォームされたエントランスはガラスのファサードを備え、重い雰囲気のあった歴史建築が足元軽く明るい光を感じる場所に。メインエントランスの先に大階段、そして螺旋階段を備える中央ホールはその大きさに息を飲む。ホールの左右が展示室でここから左右に分かれて入るのだが、まず目に入ってきたのは奥からの光。導かれるように先に進むと、暗い空間の向こうに広がる山々と緑豊かな素晴らしい庭園! その景色にまた息を飲んだ。あーなんて気持ちがいい。この庭園は元からあったのであろうが、それをここまでエンターテイメント、ハイライトとして見せているのは、100年前の柱を残し、全面ガラスとした設計デザインの技だろう。

スクラップ&ビルドと言われる日本の建物。日々新しい建築が現れるが、古いものもリデザインにより息を吹き返し注目される。これこそがデザインの力。それが伝統を重んじる京都で健在し、見ることができる。
Atsuko Imai

京都市京セラ美術館