Ask Myself at Enoura Observatory 江之浦測候所から見つめるもの

Art Trip  Odawara Enoura

Enoura Observatory  Hiroshi Sugimoto Odawara Kanagawa Japan
江之浦測候所  杉本博司 小田原 観光 神奈川  日本
近代建築 デザイン アート 写真家 カルチャー

世界のアートシーンを見渡せば、とんでもないスケールの近代建築が出現したり、歴史的建造物が改修されたり、コロナ禍の中でも次々と新しい何かが登場する。江之浦測候所が開館したのは2017年10月。小田原とアート、小田原とデザイン、当時は接点が全くないものだと感じていた。しかし、開館から数年が経ち、私たちの中でその存在感は高まるばかり。何もなかった場所に現れたアートスポット。しかしそれは天空を測候する役割も備えている。天気の良い日を選んで、電車とバスを使ってその場所に足を向けた。最寄はJR根府川駅、海風が気持ちいい。

江之浦測候所のハイライトの一つは入口すぐ、海に向かう100mの「夏至光遥拝ギャラリー」。壁側には杉本博司さんの海景が飾られていて、”世界各地の海の水平線”と目の前に広がる”相模湾の水平線”が繋がってる。直島のベネッセ美術館でも同じように展示していたが、これを見ると人間が勝手に付けた海の呼び名はそれぞれ違うが、同じ海であることを再確認し、水の惑星、地球を感じる。

広大な施設は丘陵地を降り、竹林や蜜柑と歩き再び海抜約100mの高台に戻る。ここが「光学硝子舞台」。この場所からは冬至の朝、太陽と海に映る光、そして舞台の硝子にも光が照らされるとのこと。2021年の冬至は12月22日~2022年1月5日まで。そして、夏至は6月21日。ここで興味がわかなければ、二十四節気のことも気にとめることはなかった。

「冬至光遥拝道」は冬至の朝、相模湾からの太陽光を望むことができる方向に向いている。トンネルの向こうには水平線が見える。もっと近くへ、先端へ行きたい思いを足元の”石”が制限をかける。ここのルール『石以上は行かない』。これがあると先へは行けないが、その先はガラスも手摺りもない空と海があるのみ。石があることで、このコンセプチュアル アーキテクチャーを邪魔をするものは何ひとつ無い。改めて見回すと各説明書きも案内も無く、杉本博司さんと榊田倫之さんの作る世界がくっきりと見えくる。敷地内ではまだ工事が行われている。お二人の最終形はどんな世界観なのか今後が楽しみだ。

近代建築と言えば、ついデザインだけに気を取られてしまうが、この慎ましくも力強い建築群の中では日本人が大切にしてきた季節感や信仰、そして自然との共生を見つめることになった。歩き回り、時に座り、海を眺めていたら最終バスの時間に!Atsuko Imai
江ノ浦測候所