The HILLSIDE TERRACE makes a Culture ヒルサイドテラスから始まる文化

Art Trip Daikanyama Tokyo

Maki Fumihiko HILLSIDE TERRACE 
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昔はぽつりぽつりとお洒落な店が点在している住宅街だった代官山。今は低層の近代建築と昔ながらの建物が並び、どこか穏やかで他の街とは異なる雰囲気を持っている。この代官山に約50年前に誕生し、今もなおシンボルとして鎮座するヒルサイドテラス。その歴史の起源となった旧朝倉家住宅はヒルサイドテラスの裏側あり、中に一歩入れば都内とは思えないほど静か。

大正期に建てられた重要文化財で、館内はしっかり手入れがされている。建物を出ると、目黒川方面へ急斜面になっていてこの界隈が台地の上にあるのが分かる。ヒルサイドテラスが竣工した当時はこの辺りにも森があり、木々が茂っていただろう。

一番最初に建てられた1969年築のA・B棟と1973年築のC棟。積み木を組み合わせたような建物はどこからも入れるし、どこかに出られる。ここで鬼ごっこをしたら楽しそうな構造になっている。

ヒルサイドテラスのファサードは?と聞かれると、示すことは難しい。正面もなければここの良さを一言で表すのも難しい。区画の中には抜けるようなな青空が降り注ぐ場所があれば、街の喧騒から離れ緑に囲まれる所もある。ひつとつとして同じところがなく、遊び心に満ちている。少しでも古ぼけてきたものはすぐさま壊し新しいものを作る、新陳代謝の激しい東京。その中で半世紀前に建てられて尚輝くヒルサイドは異彩を放っている。その功績はやはり当初の朝倉家と槙文彦さんの街を考えての設計と、斬新なデザインが今も人の心を掴んでいるからだろう。その影響は街全体に浸透して他には無いこの街ならではの文化を作り上げている。

帰り際、T-SITEの充実したアートや旅の本をいくつか購入し、向かいのミケランジェロにも立ち寄る。ヒルサイドテラスから始まる代官山のカルチャーは心地よく美しい。
Atsuko Imai

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